子育てインタビュー vol.1 平野真理子さん

2016年卓球ワールドカップ、2017年全日本卓球選手権大会、2017年アジア選手権大会の3大会で史上最年少優勝、そして2017年世界卓球選手権ドイツ大会女子シングルスにおいて48年ぶりのメダル獲得を果たした中央市出身・平野美宇選手(JOCエリートアカデミー所属)。

子育てインタビュー記念すべき第一回は平野美宇選手の母である平野真理子さん。

「子育てが大変だったことはいっぱいありますが、苦だと思ったことはありません」と語る平野さん。瞳はキラキラ輝かせながら三人の娘さんのことを語ってくださいました。


 

プロフィール

平野真理子(ひらのまりこ)
静岡県出身。筑波大学卒業後、静岡県で10年間教鞭をとる。現在は中央市内で平野卓球センターを主宰し、60名の老若男女に卓球を指導している。三人姉妹のママで、長女が卓球・平野美宇選手(JOCエリートアカデミー所属)、ほかに中学三年、中学一年のお子さんを子育て中。

限りがあることに気が付くだけで、今の幸せを感じられる気がする

平野真理子写真

――まず子育て中、楽しかったことや嬉しかったことといえば、どんなことを思い出しますか?

うーん、難しいですね。色々ありすぎてひとつに絞り切れません(笑)しいて言えば子どもといる時間そのものが楽しいです。今は美宇が東京に出てしまったので、うちにいる子どもは中学生の娘2人なんですが、子どもと一緒に過ごす日々の何気ない時間が楽しくて、まだまだ楽しさ進行中というか(笑)
子どもというのは、いつかは親から離れてそれぞれの世界を作っていくので、一緒にいられる時間は限られているから、今は一緒にいる時間を楽しみたいという気持ちが強いですね。

美宇ちゃんが家を出たことでその辺を意識されるようになったんですか?

ええ、そうですね。美宇の場合は小学校卒業したら出ていくんだろうなと、小学校1,2年で意識して覚悟しはじめました。でも、今年の春から県内の高校へ行く次女はあと3年、三女もあと5年くらいで家を出ていくかもしれないと考えていくと、一緒にいられる時間は残りわずかということになります。限りがあるということは覚悟しているので、それまで一緒にいられる時間は、毎日楽しみたいですね。だから今は日常のたわいもないささやかな幸せを毎日すごくかみしめてます。

きっとそう思うだけで、生活が変わってきますよね

変わってくると思う。子どもが小さい頃は、限りがあるとは思えないんだよね。例えば、20歳くらいで離れるとしたら、生まれてから20年間しか一緒にはいられない。けれど、大体の人はそのあとの人生のほうが長いでしょ?そう考えると、親子って一緒にいられる時間は限りがあるんだってことを自覚するんです。ゴールがあるってことに気が付くだけで親は子どもに対してのとらえ方が変わるから、今の幸せをもっと感じられる気がする。

日常が当たり前になっていますよね

限りがあるってことに気づかせてあげると、お互い幸せになれると思う。我が家では毎年の家族旅行が恒例なんですけど、最近の旅行で陶芸やガラス工芸をして、自分たちでお茶碗やコップを作ったんです。家族旅行の思い出がいつも食卓に並んでいて。それを見るたびに、あと何回こういう思い出ができるかなって思うんですよね。

親はあと何回って、そう思いますよね

日々の生活が大事ってことを思い出させてくれるのが、家族旅行で作ったお茶碗やコップ。それを見るたびに、家族が一緒にいられることに限りがあるっていうことを思い出させてくれる。夫が行けなかった旅行の時は美宇が作ったのですが、縁が欠けてきちゃっているんだけど、大事に使い続けているんですよ。

気持ちの面で孤独を感じた時がきっと苦しいときだと思うんです

毎年恒例の家族旅行での一枚

――子育てしている中で大変だったことは?

みんな、それぞれ全く違うタイプの子で、本当にそれぞれがはじめての子どもみたいに三者三様でした。そういう意味では、それぞれ悩みや大変さはあったけど、子ども自身のことではなくて・・・。夫も仕事が忙しくて話をする時間もなくて、その時間もないからコミュニケーションがとれなくて意見の食い違いがうまれても、その溝がうまらないし、深まる一方。それが一番大変だった。

―子どものということではなく夫婦ということですね

子どもの悩みは多かれ少なかれ誰にでもあるし、悩みはあれど、それを苦だとかつらいとか苦しいとか思ったことはないですね。それぞれ個性があって当たり前で、その個性に向き合うためにいろいろ考えたり悩んだり親がするのは当たり前だと思っているから。そこを辛いとか大変と思ったことはない。忙しくて物理的に大変だということはあっても、子どものことで苦しいとかつらいとか思ったことではなく、そういう悩みを夫と話す時間がなかなかとれなかったことが一番大変でした。多分母親は、気持ちの面で孤独を感じた時がきっと苦しい時だと思うんです。

―そんなとき、パートナーからほんの一言があると違いますよね

そうそう!ほんの一言だけで100の苦しみが1の優しさで救われるのに、その1の優しさも感じない時、普段の大変さがのしかかってきて心も身体も辛くなるし苦しくなるよね。お父さんがお母さんの気持ちを楽にさせる一言を言ってくれたり、やってくれたり努力を本当にちょっと見せてくれたり、その行動や言葉が1あるだけで、お母さんはなんでもがんばれちゃうよね!

町内はもちろん、隣町へも…おはなし会のはしごをしていました

おはなし会写真

―小さいころはどんな場所に行きましたか?

公園や図書館にはよく行きましたね。美宇が2~3歳の頃は、お話し会のはしごをしてましたね。田富の図書館はもちろん、玉穂や敷島、市川や甲府にも行ったりしていました。あと、ひばり児童館にも行きましたね。美宇が卓球を始めてからは、近くのお話し会に練習の合間に連れていくこともありました。

悩みながら、迷いながら一緒に歩いていくのが親子

――最後に、子育てをしていく上でのポイントをお願いします

子どもは親と別人格、子どももそれぞれが別人格であるということを、親の考え方の根底になきゃいけないと思うんです。どうしても親の夢を押し付けたり、ほかの子どもやきょうだいとくらべてしまったり。そのうえで、その子の個性を見つけてあげることが土台になってくると思う。そのうえでどうしていったらいいか考えることだと思う。どういう子育てにしても、何が正しいかは正直わからない。親も手探りで、これがいいと思っても、あとから考えたら違っていたこともあるし、それは仕方がないと思う。それでも、みんな悩みながら迷いながら一緒に歩いていくのが親子だと思う。それがどんな道であっても限られた時間を親子で楽しめれば成功だと思う。一番大切なことは子どもになにかしてあげるかではなくて、親自身が自分の人生を楽しむことだと思う。親自身が人生を楽しんでいる姿を見せたら、子どもも自分の人生を楽しめる子になると思う。

――親が子どものために、っていうんじゃなくてね

子どものために無理しました、我慢しましたっていうことは絶対にやっちゃいけないと思う。
そういう姿を見たら、その子どもはそういう大人になってしまうし、そうしなきゃいけない、親は我慢しなきゃいけないものだと思ってしまうかもしれない。そうしたら、親になりたいと思わないかもしれないし。やっぱり、親自身が幸せな人生を生きることが子どもにとって幸せ。

――子育て真っ最中だと、子どものことだけになりがちで親も自分自身のことに気がつかないかもしれないですね

お母さんやお父さんが笑顔でいることだよね。子どもにとって、家庭が一番身近な社会。そこにいる大人、つまり親や親代わりに育てている人が笑顔でいることが一番大切だと思います。

 

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