子育てインタビュー vol.2 泉弘恵さん

子育てインタビュー第二回は泉弘恵さん。

なんだか話を聴いてほしいと思ってしまう存在感。子どもを見守る瞳はやさしさでいっぱいでした。


 

プロフィール

泉 弘恵(いずみひろえ)
甲府市出身。小学校三年、年長、二歳児のママ。育児をとおして親子関係を築いていく風土記の丘プレーパークを運営。今後は、子ども達の多様な学びを提供するフリーペーパーの作成を考えている。

いつも家族を想うその思いやりにふれると、育児をしてきてよかったと思います

泉弘恵写真

―これまで子育てしてきた中で嬉しかったことや子どもの成長を感じた時はどんな時ですか?

思いやりの心が自然と身についたところが嬉しいですね。

子どもは3人いますが、例えば食べ物があったらシェアするとか、どこか出かけたら「ほかの兄妹の分も買っていこうよ」とか、何か作るときも「みんなの分を作っていこう」とか。他の兄妹を気に掛ける言葉が自然と出てくると嬉しく感じますし、みんながみんなを想ってくれるので、それがあれば生きていけるなぁと思います。

―お子さんが3人いる生活はどうですか?

2人だった時よりも子ども同士でコミュニティができていて、なんか楽ですね(笑)例えば、ケンカしていても誰かが間に入ってくれるような役割ができているので。

子どもが生まれる前と生まれてからでは考え方とか変わりましたか?

私は、小学校の頃から、“もっとこういうふうに話しかけてくれればやる気がでるのに”みたいなことを考えながら育ってきたので、子どもの育て方、育ち方について興味があったんだと思います。水泳を習っていたのですが、試合に行っても泳ぐことよりどちらかというと小さい子どもたちの面倒見役でしたね。その流れでコーチになったのですが、その頃は「もっとお母さんたちがこうすればいいのに」って勝手に思ったりして、子どもに何かあると「だから子どもがこういうふうになっちゃう」みたいに思っていました。
ですが、結婚して子どもが生まれて、今は全く考え方が逆になりました。
子どもは生まれた時から考え方とか性格とか持っていて、特徴も全員違うので、最適な接し方をしているのがママ。『ママがしている対応は原因ではなく、結果なんだ』とある児童精神科の先生は言っています。子どもに最適な接し方をしている結果、こうなっている。成長のスピードもみんなそれぞれだから、接し方とか対応の仕方を変えていかなきゃならない。私も子どもが3人いますが、それぞれに接し方を変えています。あと、子どもに対する目線が変わったりしたら、すぐに同じ目線を持つ仲間を作るようになりました。

―同じ目線でないとわかりあえないこともありますよね

そうなんです。例えば子どもが不登校になったとき、さまざまな段階があってそうなっていると思います。子ども達はすごく心に傷をおっていて“心が複雑骨折をしている状態”だから、無理やり引っ張り出すようなことをすると、死んじゃう子もいるし実際に亡くなっているんですね。子ども達は“学校に行けない自分は悪い子なのかな”みたいな罪悪感をもっています。フリースクールはそこを共感しあっているので会話も成立するので、子どもにとってもいい環境です。環境が変わり親が変わると子どもは一気に元気になれます。元気になったらいろいろな選択がありますので、戻ることや別の選択肢を選んでもいいと思います。

 

共感しながら話ができる相手がいなかった時に孤独を感じます

絵本広場で子どもと一緒に

――子育てしている中で大変だったことは?

時々、孤独を感じています、私(笑)
出産直後は、新生児を育てている仲間や、この《母》の辛さみたいなものを共感できる仲間がいなくて。すぐにサークルをたちあげたので、ママ友と連絡を取り合うようになってからはすーっと孤独感とか辛さは抜けましたね。

―相談相手や協力してくれた人は仲間でしたか?

相談や愚痴をこぼせたり、悩みをぽろっと言っても「家もそうだった、わかるよー」と言い合える仲間ですね。お互いの辛さがわかるので、それがあるとないのでは全く違います。あと、サークルなどである程度まとまっていると、情報が入りやすくなりますよね。ひとりで孤独と闘いながら模索しているよりは解決が早いと思います。

――子育てを経験してきた中で学んだことはありますか

HSCって聞いたことがありますか?人いちばん敏感な子ども達といえばいいのかな。感受性が人よりも何倍も強くて、人の動きをみてそれぞれの感情が流れ込んでくるみたいな特性を持っています。そういった特性は生まれもっているものだから、育て方ではないんですよね。それがわからないと、ママは自分を責めだすじゃないですか、自分の育て方が悪かったとかお腹にいた時のこととか。でも、HSCに関しては5人に1人はいるんですよ。35人のクラスなら、5~6人はいると思います。例えば、誰かが忘れ物をして先生に怒られるとします。HSCの子はそれを見ていると、自分のことになってしまうんです。それに、よく気がついてくれるっていう子は、先生から褒められますが、普通の子より数倍も神経を使っているからかなり疲れてしまうので、静かに刺激を受けない時間が必要ですね。HSCは発達障害ではなくただ人一倍敏感なだけなんです。

HSCに限らず、サークルではいろいろなお子さんと出会います。特性がある子たちはそれを見極めてあげて、それなりの対応をしてあげることが大事だということを子どもたちを通して学びました。

小さい頃から自然体験をしていた風土記の丘公園に通っていました

家族の写真

―どんなところに遊びに行きますか?

放課後プレーパークをしている若宮公園は良く利用しています。あとは、今の時期は暑いのでやっぱり【川】ですかね!!最近は市川三郷町の歌舞伎公園の近くにある川に行きます。そこがすごく面白くて。パパたちも子どもたちと一緒に川に入ったりしています。この前は、ターザンロープがいつのまにかあって。

仲間が増えると多様性がうまれるので、入ってくる情報もすごいですね。

同じ価値観を共有できる育児仲間をつくる

――最後に、子育てをしていく上でのアドバイスやポイントをお願いします

同じ価値観というところが一番大きいですね。仲間同士で愚痴や悩みも言い合えるし、支え合える。価値観が共有できる仲間を作れば、育児の辛いところの8割は解決したも同然だと思います。あとは、子どもを預けられるところが5か所あると安心かなと思います。

ママ友づくりが苦手という人も気にすることはなくて、送迎の時にちょっと立ち話ができたり、毎日ご挨拶をしているだけでも顔見知り度が増すし、気は楽になりますよね。それと、SNSですね!!一番下の子が少し小さく生まれたこともあって、風邪を引くとと重症化したりしてなかなか外に出せずにいました。私も孤独を感じていたり家にこもっていたのですが、SNSでまわりの人が何をしているのかとか、自分の状況もつぶやいたりして「そうなんだね」って共感を得たり、会話することで、孤独から抜け出せるし、目で見える状態が外とつながっている感じがします。現代ならではですが、こういうツールって本当にありがたいなと思いますね。

泉弘恵さん写真

――コメントをくれたりすると、また違いますね

そうです!!!「辛そうだね、預かろうか」って一言があるだけで、救われます。普段は365日24時間ずっと一緒のような状態なので、ママもだんだん息ができない状態になってくるんですよね。例えば仕事で保育士さんをやっていたりすると、頑張れちゃうし頑張っちゃうんです。休憩の取り方がわからないみたいなママもいたんですよね。本人は気が付かないけど、言葉の端々にとげがでちゃったり子どもが我慢している表情をしていたり。だから、週に2時間くらいの自分の時間は必要なんです。ママがみんな引き受けちゃいますからね。日本は遅れていると言われていて、何でも矢印が母親に向くんですよね。以前の私みたいに『こうなっているのは、あなたのせいでしょ』って感じに。でも全然違うんですよね。自分の言葉がけや育て方が間違っていたのかと感じてしまいまいがちですが、子どもの持っている特性をみんなに話せる、それをみんなが受け入れてくれる環境を作ることが本人にも親にもベストですね。

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